最初に、困り事と目指す状態を決める
「問題解決力を高めたい」だけでは、体験後に何を話すかが定まりません。「原因を確かめる前に対策を決めてしまう」「試した結果が期待と違っても、最初の考えを変えにくい」など、職場で気になっている進め方を一つ選びます。そのうえで、目指す状態を「事実と推測を分け、追加で確かめることを決められる」と具体化します。
研修会社のアルーが案内する仮説検証型問題解決研修では、問題の明確化から仮説の構築、情報収集・検証、結論の整理までを扱っています。問題解決という言葉には、このように複数の段階があります。本記事はその講座を再現するものではなく、共同体験を手がかりに、自分たちの確かめ方を振り返る企業側の企画案です。
候補の比較や合意の取り方を主題にしたい場合は、意思決定を扱う記事が適しています。ここでは、困り事と目標との差を捉え、仮説を確かめ、結果に応じて見直す流れに絞ります。脱出の成功や失敗を、参加者の業務能力の採点に使う設計ではありません。
探索する作品を、共通の振り返り材料にする
作品候補の一つが、IMGAMEの「エドリンへの詩―忘れられた記憶―」です。公式作品紹介では、アンティークの空間にある家具や手紙、小物などを探索し、残された情報から物語を読み解く内容が紹介されています。
この探索の特徴から、「実際に見つけたものと、その時点で考えたことは何が違ったか」「別の情報を得て、考えを変えた場面はあったか」を終了後に話す案を提案します。作品に企業向けの検証手順や評価機能が備わっているという説明ではありません。思い出せる場面を一つ選び、全員が同じ情報を見ていたかも確かめましょう。
公演中は施設の案内に従います。会社の討議のために進行を止めたり、許可されていない操作を試したりする計画にはしません。記入と対話は終了後に会社側が用意する場で行い、作品の答えや仕掛けを社内資料に再現する必要はありません。
架空の業務例で、事実と仮説を分けてみる
以下は記入の仕方を示すために作った、社内の依頼文を題材にした架空の例です。実在企業の成果や、作品内の問題・答えではありません。「確認のやり取りをなくす」ことを目標にせず、受け手が仕事を始めるために必要な条件を把握できる状態を目指しています。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 社内依頼の情報不足を確かめる、架空の記入例
| 段階 | 記入例 |
|---|---|
| 困り事と目標との差 | 依頼を受けた人が、期限と提出形式を確認するまで着手できなかった。着手前に必要な条件が分かる依頼にしたい。 |
| 確認できた事実 | 依頼文には目的があり、期限と提出形式はなかった。受け手から、この二つを尋ねる返信があった。 |
| 仮説 | 期限と提出形式の記載がないことが、着手を迷う一因かもしれない。ほかにも不足情報がある可能性は残る。 |
| 確かめ方 | 次の似た依頼に目的・期限・提出形式を記載する。受け手に、着手するうえで不足している情報があるか尋ねる。 |
| 結果 | 受け手は期限と形式を確認できたが、並行する仕事との優先順位を追加で尋ねた。 |
| 見直し | 三つの項目だけで十分とは言えなかった。優先順位を調整する相手や手順も、依頼時に確認する。 |
| 次の仕事での行動 | 依頼する担当者が、次回の依頼前に上司と優先順位を確認する。依頼後に受け手と不足項目を確かめ、週次の打合せで見直す。 |
この例で確認できたのは、記載した条件が伝わっても、別の確認が必要だったことです。一つの依頼だけで「書式を変えれば業務が速くなる」と結論づけることはできません。仕事内容や受け手の状況も異なるため、分かったことの範囲と、まだ確かめていないことを一緒に残します。
結論を急がず、確かめ方を決める会話例
参加者A:「期限を書けば解決しそうです。」
進行役:「期限がなかったのは事実ですね。それが理由だという考えは、どう確かめましょうか。」
参加者B:「次の依頼に期限を加え、ほかに不足する情報がないか、受け手にも聞きたいです。」
進行役:「では、聞き返しがなかったかだけでなく、着手に必要な条件を確認できたかを聞きましょう。」
参加者A:「追加の質問が出たら失敗とせず、依頼文を見直す材料として残します。」
体験後の対話でも「なぜその場で気づかなかったのか」と責めるより、その時に持っていた情報を尋ねます。終了後に分かったことを、当時も全員が知っていた前提で話さないことが大切です。
体験の一場面から、仕事で試す行動へつなぐ
まず参加者が話せる場面を選び、次の票の前半を埋めます。別の人の記憶と違う場合は、どちらかをすぐ正解にせず「覚えていることが異なる」と記録します。体験中に確かめられなかったことは空欄のままで構いません。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 会社側が用意する、体験後の空欄票
| 整理すること | 記入欄と問い |
|---|---|
| 場面と目標 | 取り上げる場面:__/その時に分かりたかったこと:__ |
| 事実 | 自分が見聞きしたこと:__/他の人から聞いたこと:__ |
| 仮説 | こうではないかと考えたこと:__/そう考えた理由:__ |
| 試行と結果 | ルールの範囲で試したこと:__/その後に分かったこと:__ |
| 見直し | 考えを変えた情報:__/まだ分からないこと:__ |
| 業務の課題 | 職場で扱いたい困り事:__/目指す状態:__/体験との違い:__ |
| 次の確認 | 試す行動:__/何を見れば確認できるか:__/担当・確認日:__ |
後半はゲームの解き方をそのまま職場へ移すのではなく、業務の条件に合わせて書き直します。仕事では、顧客への影響や決定権限、必要な承認が関わる場合があります。まずは社内依頼の確認項目など、担当者が扱える小さな行動を選び、必要な相手に相談してから試しましょう。
後日の社内打合せでは「実行できたか」「何が分かったか」「次にどう変えるか」を確認します。結果が想定と異なったときも、最初の仮説を守るために都合のよい情報だけを拾わず、残る疑問を書き加えます。この追跡は会社が行う運用案であり、施設が評価報告書を作成するサービスの案内ではありません。
研修の準備と、施設へ確認する条件を整理する
企画は、社内での目的共有、施設での体験、会社側の振り返りを組み合わせます。参加者の謎解き経験に差があることを想定し、得意な人だけに説明や判断を任せる前提にせず、それぞれが見たことを話せる進行にします。講義で業務知識や分析手法を学ぶ必要がある場合は、その時間と担当を別に用意してください。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 利用相談前に埋める条件整理票
| 項目 | 会社側で決める・記入すること | 施設へ照会すること |
|---|---|---|
| 対象・人数 | 対象部署:__/総人数:__/班の希望:__ | 候補作品の定員、班分け、社員だけで参加する条件 |
| 日程・場所 | 候補日:__/エリア:__/体験に使える時間:__ | 開始時刻、受付から終了までの時間、複数班の参加時刻 |
| 予算・参加上の希望 | 予算の目安:__/演出や動作についての希望:__ | 料金・支払方法、演出内容や必要な動作 |
| 振り返り | 社内の進行役:__/会場:__/後日の確認日:__ | 別途希望する設備や対応があれば可否を照会 |
作品の時間とは別に、移動と休憩、振り返りの時間を確保します。講師や会議室の提供、大人数の同時受入れ、法人割引は確認していません。必要な条件は回答を得てから予定へ反映してください。参加者にはホラーや暗い場所、必要な動作について希望を聞き、診断名などの機微情報を集めずに、施設へ確認すべき条件を整理します。
初回相談では、目的と利用したい条件を伝える
既存作品の社員利用は、公式お問い合わせの「テーマ予約関係」から相談できます。備考欄は500文字以内です。以下は架空の計画の記入例です。人数・日程・予算を自社の希望へ書き換えてください。
〇〇株式会社の研修担当です。社員8名の問題解決研修に、イマーシブ脱出ゲームの利用を検討しています。体験後に、事実と仮説、試して分かったことを社内で振り返る予定です。「エドリンへの詩―忘れられた記憶―」に関心があります。候補日は〇月〇日午後または〇月〇日午前、新宿周辺を希望します。受付等を含む施設利用は〇時間、予算は総額〇円です。人数に合う作品、班分けと開始時刻、社員だけで参加する条件、料金・支払方法を教えてください。振り返りの場所と進行役は当社で用意します。
問題解決研修と脱出ゲームのFAQ
脱出に失敗した場合も、振り返りはできますか?
思い出せる探索や相談の場面を使い、何を知っていて、どう考えたかを話します。脱出の成否と振り返りで扱う過程を分け、失敗を個人の能力不足と決めつけません。
問題解決の講義や講師もセットで予約できますか?
講師付きの研修商品の提供は確認していません。本記事は作品の利用と、会社が用意する目的共有・振り返りを組み合わせる案です。講義や進行支援を希望する場合は、対応の有無を別に確認してください。
記入例の8名は全員同時に参加できますか?
8名は架空の問い合わせ例であり、定員を示していません。総人数と候補日を伝え、作品の条件に合う班分けや参加時刻を照会してください。複数班の同時参加を前提に予定を確定しないようにします。
研修後の成果は、何を確認すればよいですか?
まず会社側で決めた小さな行動を試せたか、そこから何が分かったかを確認します。業務の数値が変わっても、ほかの要因を検討せずゲームの効果とは断定できません。施設体験だけで問題解決能力を測れるとは案内していません。
