「参加者が多かった」と「施設の売上が増えた」は別の結果です。施策の継続や常設化を判断する担当者へは、何を確認でき、何が分からないかをセットで示します。以下の報告書はIMGAMEが公開情報を踏まえて作成した記入用の参考例です。数値例はすべて説明用の仮定であり、実績、目標の推奨値、成果の保証ではありません。
集客効果の報告は、次に決めたいことから設計する
空き区画の活用が目的なら稼働や賃料、平日の来館を増やしたいなら曜日別の来館記録、他店への波及を見たいなら参加後の立寄りや購買記録が必要です。一つの参加者数ですべてを評価せず、今回の施策で判断したいことを一文にします。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 目的と測定する指標の対応
| 確かめたいこと | 記録する指標の例 | その数字だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| ゲームの利用 | 実施枠、有料実参加人数、取消、曜日・時間帯 | 初回来館か、他店で買ったか |
| ゲームを目的にした来館 | 任意調査の主な来館目的と初回来館の回答 | 未回答者の目的、施策がなければ来なかった人数 |
| 館内回遊 | 立寄り回答、参加者向け特典の利用記録 | 記録外の立寄り、回遊による売上純増 |
| 滞在 | 取得可能な入退館時刻、任意回答の滞在時間 | 待ち時間と飲食・買物の時間の内訳 |
| 他店での購買 | 提携店で確認できる特典付き購買取引 | 特典なしの購買、施設全店の売上純増 |
「目的来館」と「初回来館」は質問を分けます。普段から利用する人がゲームを目的に訪れる場合もあるためです。滞在時間も、受付待ちで延びたのか、他店で過ごしたのかで意味が変わります。
成果報告書の空欄版を、実施前と実施後に分けて使う
最初の表は施策前に記入し、変更した場合は理由を追記します。結果を見てから都合のよい指標や日だけを選ばないためです。次の表は指標一つにつき一枚作り、実施後の結果と判断を加えます。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 成果報告書・施策全体の設定欄
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 案件と報告者 | 施策名【 】/施設・実施場所【 】/報告者【 】/報告日・版【 】 |
| 目的と次の判断 | 改善したい施設課題【 】/今回決めたいこと【継続・変更・保留・終了など: 】 |
| 対象・集計期間 | 対象者【 】/対象店舗【 】/期間・時間帯【 】/除外条件【 】 |
| 比較対象と条件 | 比較期間・区画【 】/曜日・営業日数【 】/営業時間【 】/計測方法【 】 |
| 同時に変わる条件 | セール・広告・新店・学校休暇【 】/天候・工事【 】/計測変更【 】 |
| 運用と確認 | 取得担当【 】/集計担当【 】/報告の確認者【 】/取得できない予定の項目【 】 |
| 判定条件 | 事前に決めた基準【 】/基準の理由【 】/データ不足時の扱い【 】 |
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 成果報告書・指標別の記入欄(指標ごとに複製)
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 指標名と定義 | 指標【 】/何を数えるか【 】/単位【人・組・枚・件・円・分など: 】 |
| 分子と分母 | 分子の対象・値【 】/分母の対象・値【 】/式【 】。件数・金額だけなら分母は「なし」 |
| 取得元と数え方 | データ元【 】/自己申告か記録か【 】/重複の扱い【 】/対象漏れ【 】 |
| 比較条件 | 比較値【 】/同じ条件【 】/異なる条件【 】/比較なしの場合の理由【 】 |
| 今回の結果 | 観測値【 】/回答率など取得範囲【 】/観測値から直接言えること【 】 |
| 未測定・言えないこと | 未測定の対象【 】/欠測の理由【 】/推定していない項目【 】 |
| 次の判断と担当 | 判断【 】/追加確認【 】/変更すること【 】/担当・期限【 】 |
人数、組数、取引件数を同じ欄で混ぜないでください。予約の代表者一人が複数人分を申し込む場合、予約者数と参加人数は一致しません。回答を参加グループ単位で集めた場合も、個人回答の人数として計算しないようにします。
架空の完成例:回答200人を参加600人へ広げない
ここからはすべて架空の条件です。「施設Aの週末4日間の脱出ゲーム施策」で、目的を提携飲食店の利用機会の確認、次の判断を特典施策の継続・変更とします。同じ人の再参加がない600人が有料参加し、全員へ個人単位の任意アンケートを案内したと仮定します。有効回答は重複を除く200人で、来館目的・飲食の質問に全員が回答しました。
特典は一人一枚、合計600枚の一意の番号付き券を配り、一枚一回、対象購買一件につき一枚のみ使える条件とします。提携飲食店3店で90枚が利用され、対応する90件の支払額は合計135,000円と仮定します。この券は参加者への配布後に譲渡された可能性を確認できないため、90枚を「参加者90人の購買」とは表現しません。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 架空の成果報告書・計算と観測範囲の完成例
| 指標 | 取得元・分子/分母 | 結果と書き方 |
|---|---|---|
| 有料実参加人数 | 受付記録。取消・不参加を除く600人。人数のため分母なし | 4日間の有料実参加600人。施設全体の来館純増は未測定 |
| アンケート回答率 | 有効な個人回答200人/案内対象600人 | 200÷600×100=約33.3%。未回答400人の行動は不明 |
| 回答者内のゲーム目的来館率 | 主目的をゲームと答えた120人/この質問の有効回答200人 | 120÷200×100=60%。参加600人全体の60%とはしない |
| 回答者内の飲食実施率 | 参加後に館内で飲食したと答えた80人/この質問の有効回答200人 | 80÷200×100=40%。自己申告であり、購買記録による確認人数ではない |
| 特典券の利用率 | 店頭で回収した重複なし90枚/配布600枚 | 90÷600×100=15%。券の利用率であり、全参加者の購買率ではない |
| 特典券付き購買の支払額 | 提携3店の対象90取引の支払額合計135,000円。合計額のため分母なし | 対象取引の合計額。1件平均は135,000÷90=1,500円。施設売上の純増額とはしない |
アンケートの80人と券利用90件を足して170人とすることはできません。同じ行動を両方で記録している可能性があり、個人単位で照合していないためです。また、回答者内の40%を参加600人に掛けた240人を実際の飲食人数として報告してはいけません。
実際には質問ごとの無回答も起こります。その場合、飲食の質問に答えた人数を飲食実施率の分母に使い、アンケート全体の有効回答数とは別に表示します。分母が0なら0%とは計算せず、「対象0・算出不可」と記載します。
比較条件・未測定・次の判断まで書いて、報告を完成させる
同じ架空例で、施設の入館カウンターは比較する週末4日間が20,000回、実施した週末4日間が22,000回だったとします。どちらも同じ機器と営業時間で計測していても、再入館を含む回数なので「人数」とは書きません。実施期間には館内セールもあったと仮定します。
項目が見切れる場合は横にスクロールできます 架空の成果報告書・判断欄の完成例
| 項目 | 記入済みの例 |
|---|---|
| 比較条件 | 前の週末4日間と実施週末4日間。同じ土日構成・営業時間・カウンター。実施期間は館内セールあり。天候差は記録不足 |
| 来館の観測結果 | 延べ入館回数は20,000回から22,000回へ変化。(22,000−20,000)÷20,000×100=10%増 |
| この結果の限界 | セールや天候の影響を分離できない。脱出ゲームだけで入館が10%増えたとは判断しない |
| 未測定 | 未回答400人の飲食、特典を使わない購買、全店売上、滞在時間、施設全体の純増利益。値は空欄のまま「未測定」と記載 |
| 事前に置いた判定条件 | 提携3店で券の配布・回収・対象支払額をそろえて記録できれば、追加試行を検討。常設化の判断は別途収支と運営条件を確認する |
| 今回の判断 | 記録はそろったため、特典施策の追加試行を検討。集客純増・採算は結論を保留。15%という券利用率だけでは継続の妥当性を決めない |
| 次回までの担当・期限 | 販促担当が告知条件と比較期間を実施前に確定。提携店担当が券の利用条件・取引集計を確認。事業担当が特典負担と運営費を見積もる |
結果が良かった期間だけを抜き出すと、次回の判断に使いにくくなります。期間・曜日・営業日数と、広告・セール・新店の状況を記録します。学校休暇、天候、工事、数え方の変更も確認してください。条件をそろえられない部分は、その違いを説明します。
短期試行の継続条件は商業施設の体験型コンテンツを試す方法、費用と収支は脱出ゲームの事業計画で整理できます。測定結果から何を変えるかまで決めて、次回の企画へつなげてください。
上海の55%超増と常州の約40%増は、対象を分けて読む
上海市普陀区の2026年7月7日付記事は、UMEPLAY天安千樹店の説明として、同年1〜6月の店内客流が前年同期比55%超増えたと伝えています。店舗の客流であり、天安千樹全体の来館増加率ではありません。実数、集計方法、購買への寄与は示されていません。出典は上海市普陀区の掲載記事です。
常州市鐘楼区の2026年7月23日付記事では、新世紀商場の客流が約40%増加したと紹介されています。約1万㎡の遊休空間を部分改修し、脱出ゲームやフィットネスなど複数業態を導入した商場の説明です。比較期間と集計方法が明記されていないため、脱出ゲーム単独の効果には置き換えられません。出典は常州市鐘楼区の掲載記事です。
この二つは対象も比較条件も異なります。自施設の成果予測に増加率をそのまま当てはめず、「店舗か施設全体か」「いつとの比較か」「同時に何を実施したか」を読む事例として参照してください。
商業施設の脱出ゲームの集客効果についてよくある質問
来館者が増えた理由を、脱出ゲームの効果と言い切れますか?
導入前後の差だけでは言い切れません。同じ期間に広告、セール、新店、休暇などの条件が変わっていないか確認します。報告書では、観測した増減と、脱出ゲーム単独の寄与を分けて記載してください。
回答者が少ないアンケートは、どう報告しますか?
案内した対象数、有効回答数、回答率、質問ごとの分母を添えます。「回答者の何人がそう答えたか」までを記載し、未回答者へ割合を広げません。次回の回収方法は見直せますが、未回答分を推測で埋めることは避けます。
取得できなかった項目は0として扱いますか?
扱いません。「測定して0だった」と「未測定」は区別します。未測定の理由、今回の判断に与える限界、次回の取得担当を残してください。必要性に比べて取得負担が大きい項目は、測定計画自体の見直しも検討できます。
特典券の回収枚数を、購買した参加者数として使えますか?
券と参加者と取引の対応を確認できる場合に限って、その定義に沿って報告できます。一人が複数枚使える、譲渡できる、複数取引がある場合は枚数と人数が一致しません。確認できなければ、券の利用枚数や対象取引件数として報告します。
取得できるデータを整理して、施設の目的から相談する
成果を測る準備と、回遊を生む準備は合わせて行います。出口から提携店への案内や、ゲーム終了後にも使える特典時間を検討する場合は、館内回遊設計とテナント連携の進め方が関連します。
IMGAMEの会社紹介では、体験型施設の企画・運営や空きスペース活用を案内しています。「施設の課題【 】、希望する実施形式【 】、取得できる記録【 】、次に決めたいこと【 】」を整理し、IMGAMEのプロジェクト相談窓口へお知らせください。具体的な対応範囲と個別条件を確認できます。
公開情報の確認日:上海市普陀区・IMGAME会社紹介は2026年10月7日、常州市鐘楼区は2026年10月6日。
